とーちゃんと田道間守と橘
うちの家業はお菓子屋さん。昨年の春、とーちゃんが「お菓子の神様のお祭りに行く!」と意気揚揚と菓祖神社へ出かけて行きました。お祭りといっても、地元の菓子組合のおじさんたちが社で柏手を打つ程度のものだったと思うのです。
帰ってきてからとーちゃんが、「タジマモリ~♪タジマモリ♪」と歌い始めました。「いったいなんなの?」と問う私に、「タジマモリの歌をしらんのか!」とご立腹。最終的に、知り合いの音大出身の方に歌を録音して貰ってCDにしたり、ノリノリでした。
で、タジマモリって誰?
田道間守(遅摩毛理・タジマモリ)っていうのは、日本書紀や古事記にも登場するお菓子の神様。垂仁天皇の命を受けて非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)を求めて常世の国(とこよのくに)をさまよった田道間守。やっと非時香菓を手に入れて戻ったものの、垂仁天皇は崩御した後だったとか。。゜゜(´□`。)°゜。嘆き悲しんだ田道間守もまた・・・。つД`)・゚・。・゚゚・*:.。
「非時(ときじく)」は、時を定めずという意味。垂仁天皇が求めた非時香菓は「いつでも香りを放つ木の実」で橘のことだそうです。さらに、聖武天皇の「橘は菓子の長上、人の好むところ」という言葉の「菓子」が「果物」の意味もあることから、田道間守は菓祖神として各地の菓祖神社に祭られているのです。
橘は常緑樹なので、すぐ散ってしまう桜とは対象的。平安京の内裏にある紫宸殿に植えられ、正面の階段から見て『左近の桜、右近の橘』と言います。参拝する人から見ると、左が橘で右が桜になるので、お雛様にセットする時に、どっちがどっちかわかんなくなるコトがあったのですが、お内裏様から見て左が橘、右が桜ってことなのね。。。今でも平安神宮なんかには、神殿の左右に橘と桜を見ることができます。
橘(タチバナ)の学名はCitrus tachibana。(そのまんまだ~。)葉はプチグレン、花はネロリのような香がするとか。お庭に植えてみたいな。。。タチバナ。。。でも、絶滅危惧種なんですって。。。
なんで、こんなコトを思い出したかっていうと、先週、駒ケ岳の麓に住んでいる魔女さんの所にアロマ・ベーシックの修行に行ったところ、こぼれ話のトコで「田道間守」がでてきたのです。。。「お菓子の神様なんですってよ!知ってる???」って言われて、とーちゃんのはしゃぎっぷりが蘇りました。
かをりも高い たちばなを
積んだお船がいま帰る
君の仰せをかしこみて
万里の海をまつしぐら
いま帰る 田道間守 田道間守
おはさぬ君のみささぎに
泣いて帰らぬ まごころよ
遠い国から積んで来た
花たちばなの香とともに
名はかをる 田道間守 田道間守
あらためて歌詞を確認すると、はしゃぐような歌じゃないかも。。。プチグレンやネロリを嗅ぐ度に、律義者で忠義者の田道間守のコトを思い出しそうです。。
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