ウィルスと細菌

H5N1

昨年、インフルエンザが流行した時には抗インフルエンザスプレーなんぞを作成したりして職場や家に配置しておいたのですが、そのまま花粉症対策や日常の風邪対策にもなっているっぽいので、そのまま常設している今日この頃。

そんなインフルエンザも過去の話になっていたのに、またまた来ました、凶悪なウィルス君情報。致死率高い鳥インフル、人間に感染しやすい型に変異 すごく嫌すぎる記事だわ。H5N1って前から怖いって言われている型で、トリが大変な死に方しているとか・・・。ヒトとヒトで感染するぐらい遺伝子変異が起きれば、少しは病原性が低くなってくれるといいのだけど。。。

WHOに報告されたヒトの高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)感染確定症例数を見ると、まだ対岸の火事って感じなんだけど・・・。昨年、ベルギー研修に行った時には「ワクチン屋さんが不安を煽ってたりして~。。。」なんて話も出てましたが、病原性が高いインフルエンザが流行するのは、やっぱりやだな。。。新型インフルエンザ・ウォッチング日記をたまにチェックしよっと。

細菌にも嗅覚がある?

ナショナルジオグラフィック ニュースに面白い記事が出ていました。「細菌にも嗅覚がある?」という研究が発表されたとか。

「実験では、細菌のコロニーはアンモニアの気体に触れると、同じ種の個体が集まって粘性のある“バイオフィルム”を形成した。競合するコロニーとの距離が遠いほど、バイオフィルムを形成するスピードは遅くなった。これは逆に考えると、バイオフィルムを形成して自分の陣地を拡大し、近くにいるライバルとの縄張り争いを制してアンモニアにたどり着こうとしていることを示す。」とのこと。。。

バイオフィルムは身近なものでは、台所のぬめぬめとか歯垢で、そのネバネバの中で微生物が共同体を形成しています。「もやしもん」の中で、ヒトの腸内のお花畑(腸内フローラ)以外では、菌達は自分たちが繁栄することしか考えていないので、常に縄張り争いをしているってあったのですが、バイオフィルムも利用してるんですね。。。

でも、菌に鼻があるってのはどうなんだろーって思っちゃうけど、研究が進むとアロマの抗菌とか抗ウィルスとかの作用がどんなメカニズムか解明されるのかな。。。

ハイチのマザーテレサ

昨日の多剤耐性菌になってしまう遺伝子の記事を読んで、ハイチで結核と戦う須藤昭子先生のことを思い出しました。NHKのクローズアップ現代では、ハイチ地震後の現地の状況、医療事情と多剤耐性の結核菌が発生した場合にはハイチだけの問題では無くなるというお話をされていました。

医師であり、修道女である須藤先生は、所属していたカナダの修道院でハイチの成人死亡原因一位が結核であることを知り、49歳からハイチでの結核治療に尽力されてきました。

また、ハイチの貧困を解決するために、農業に力を入れようとされていた時に起こった今年1月の地震。病院の建物は倒壊し、屋外に横たわる人々。病院の水を確保するために、国連の現地機関に赴けば、申請の不備を指摘されて明日の水を確保することもままならない。現地の人たちの未来のために用意された農業用地は被災者のキャンプ場となり、農業どころではなくなってしまったのです。

しかも、病院が倒壊したことで、患者の投薬の管理が難しくなってしまい、耐性菌が発生する可能性が極めて高いとのことです。そんな須藤先生がブログをやっていらっしゃるのを発見しました。御年83歳、今も現役で活躍されているのは本当にスゴイ。

新種の細菌感染

もやしもん」の最新刊を最近購入して、やっぱA. オリゼーかわいいっ。と麹のお漬物でも食べようかな~なんて呑気に思っていたら。。。

薬剤耐性示す細菌の遺伝子、南アジアから世界に拡散の恐れという記事が目につきました。さらに、ベルギーでは死者も出たとか。もうちょっと詳しいサイトはあるかな~とNDM-1(New Delhi metallo-beta-lactamase 1)で探してみたら、The lanset.comの情報を訳したサイトもありました。。。

特定の菌というよりNDM-1の遺伝子を持つといろんな抗生物質への耐性が出来てしまうみたいなので、「もやしもん」に登場するとしたら、この遺伝子持ったとたんに凶悪な顔になるのかな。。。抗生物質に対峙する時だけ凶悪な姿を見せるのかな。。。いずれにしても、インド方面で医療機関を受診されるようなことがあったらご注意を。

「もやしもん」は農大を舞台に、菌が肉眼で見える沢木惣右衛門直保と個性的な先輩や教授や菌達が活躍?するお話。農業だけでなく、常在菌や危険な菌のこともお勉強できちゃいます。最近では絵本も出てます。。。

 てをあらおう

新型ウィルスが出来るまで。。

前回の続きで、ウィルスの中心にある核酸。DNAとRNAの違いも押えておきます。

DNAはデオキシリボ核酸(Deoxyribo NucleicAcid)のことで、真核生物(細胞核を持っている生物)は核の中に、原核生物(細胞核をもっていない生物)では性染色体とプラスミドの部分になります。ウィルスはコアの部分です。

デオキシリボース(酸素が2つある五角形の糖 元のリボースは酸素3つ)、リン酸に、アデニン(A)・チミン(T)・グアニン(G)・シトシン(C)の4つの塩基が手を出して出来ているヌクレオチドを2本繋いだ二重螺旋構造をしています。(ワシントンとクリックが理論を考えて、メルセソンとスタールが証明)

二重螺旋をつなぐとき「アデニン(A)とチミン(T)」「グアニン(G)とシトシン(C)」が必ずセットで結合しています。このセットを塩基対(base pair)といって、ヒトのの場合、塩基対は約30億個あります。塩基の並びは「塩基配列(base sequence)」といい、これが子孫に伝えていく生命の設計図(遺伝情報)になるのです。 染色体と同じように見えますが、染色体はヒストンという核タンパク質にDNAが巻きついたコンパクトなものです。

一方、DNAの中に記録された遺伝情報を取り出して、実際に体の中で働くお膳立てをするのがRNA(リボ核酸 ribonucleic acid)です。リボースという糖が使われていて、DNAのデオキシリボースより酸素原子が1つ多くなっています。(デ オキシ でリボースから酸素1個抜いたよってことか。。。)

RNAも四つの「塩基」と呼ばれる物質で構成されていますが、RNAは一本の鎖です。アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)まではDNAと同じですが、チミンの場所にはウラシル(U)が入ります。情報をコピーをするときには、DNAのチミン(T)に対してはアデニン(A)、アデニンに対してはウラシル(U)がくっつきます。(シトシンとグアニンは一緒)。

RNAには、DNAという元の設計図から情報を写し取り、それをたんぱく質を作る器官に運ぶ、「メッセンジャーRNA(mRNA)」、メッセンジャーRNAに写された情報を元に、対応するアミノ酸を運ぶ「トランスファーRNA(tRNA)」、運ばれてきたアミノ酸を並べてつなげる工場で働く「リボゾームRNA(rRNA)」の三種類があります。

簡単に言うと、DNAが図面でRNAが大工さんみたいなもんかな?

ウィルスだけは乗っ取ったor感染した細胞を使ってたんぱく質を造るだけでなく、DNAかRNAのどちらかしか持っていませんから、RNAしか持っていないウィルスは遺伝子情報としてもRNAを使っています。RNAの研究が進むにつれてDNAには無い働きを担っていることが解ってきているようです。

さて、インフルエンザウィルスにはA型、B型、C型とあり、A型が一番変化しやすく、亜種も沢山あります。今、流行しているインフルエンザは日本ではソ連型と呼ばれているH1N1型の亜種だそうです。

ニュースでも、簡易検査がA型陽性と判明すると、遺伝子検査で新型か検査すると伝えられていますが、それだけ似ているウィルスが沢山あるので、すぐに判断出来ないのでしょう。

20世紀初頭にパンデミックを起こしたスペイン風邪もこのA型の仲間です。A型には他に、香港型と呼ばれるH3N2、高病原性と言われる鳥インフルエンザのN5H1などがあります。とっても変異しやすい奴らみたいです。

新しいインフルエンザウィルスはどこから来るのでしょうか???

インフルエンザウィルスの遺伝子は8つの分節(セグメント)に分かれていて、感染した細胞内で遺伝子が読み取られて、新しいウィルスに必要な構造タンパクが合成され、ウィルスの遺伝子も一緒に複製されて増殖します。

この時、インフルエンザウィルスは「自分が持ち込んだ遺伝子」をしっかり識別して持ち出しません。チャランポラン・・・。

そのため、もし、2つのインフルエンザウィルスに同時に感染していた場合には、新しく作られるウィルスの中にある遺伝子の組み合わせは、2つのウィルスの遺伝子のランダムな組み合わせになってしまうのです。

鳥のインフルエンザはヒトには直接感染しませんが、ブタは鳥のインフルエンザにもヒトのインフルエンザにも感染してしまいます。ブタさんの中でのトリとヒトが出会う。。。新しいインフルエンザはこんな出会いで生まれるのでした。

またまた長くなったので次回は感染パーティのコトを。。。

根路銘さんのウィルス消毒薬

新型インフルエンザが関西方面でどんどん拡散しています。全国に広がるのも時間の問題だと思いますが、昨日のブログでもお名前を出した根路銘国昭さんが、インフルエンザ消毒薬を開発したという記事がありました。

沖縄自生のセンダンとハンノキから抽出された成分を使うそうで、薬草魔女見習いとしてはとっても興味深い内容です。アロマテラピーにも抗ウィルス作用のある成分が入っている精油はあるのですが、根路銘さんの開発した消毒薬はウィルスを「死滅」させる作用があるそうです。先月末に特許を取得され、今年中には製品化もされるとか。。。興味津々です。

死滅させるには、ウィルスがどうなっているのか知った方がいいかなって思うので、まずは構造を。

普通の生物はDNAとRNAを両方持っていますが、ウィルスはDNAかRNAどちらか一方の核酸しか持っていません。その核酸をカプシドっていうたんぱく質で包み、その廻りにエンベロープっていう膜があるだけの簡単な構造をしています。こんな簡単な構造ですから、ウィルスは自分で動きまわったり、エネルギーなどを合成して自分を複製していくことが出来ません。そこで、誰かに寄生して活動をします。さまざまな議論があるようですが、細胞を持たないので非生物。。。ちょっと神秘的な存在です。

エイズや白血病ウィルスのようなレトロウィルスの場合には、宿主に入り込む機会が出来た時には、自分が栄養だったりホルモンだったりと違うモノであるかのように振舞って細胞を騙し、勝手に動物やヒトの細胞を乗っとります。そしてたんぱく質を合成したり、自分のコピーをするのに必要なタンパク質を宿主に作らせて、自分のコピーを作成、それを拡散させるのも宿主に依存します。

その他のウィルスは宿主を乗っ取ることはしないで、誰かに感染→抗体産生→排除されるを繰り返し、誰かがどこかで感染している状態を作っているようです。鳥インフルエンザの場合は、鳥には症状を出さずに仲良く鳥と共生したりしているようです。

また、帯状疱疹や水疱瘡を起こさせるヘルペスウィルスは、一回感染すると免疫系の力が及ばない神経などに潜んで、体力が落ちるとむくむく出てきたりします。普段は悪さをしないので、ヘルペスや帯状疱疹や関連する神経痛が出たら「あー、体力おちてるかも」って軽く思うのがストレスたまんないかもです。

で、エンベロープという膜があるウィルスは、エンベロープを使って宿主のレセプター(細胞の鍵穴みたいなもの)にくっ ついて侵入したり、免疫などの防御機能をすりぬける機能をもっているものもあるようです。ただ、エンベロープがは脂質が主な成分なので、エタノールや有機 溶媒や石鹸なんかで破壊出来ます。そのため、エンベロープ持ちのウィルスの方が簡単に破壊できるとのいこと。

このエンベロープを破壊してしまうのが、一番楽そうです。根路銘さんのウィルス消毒薬は空気清浄機みたいなモノで空気中に拡散させるようなので、エンベロープを破壊するような芳香化学物質がハンノキやセンダンに含まれているのかもしれません。

「マウス実験では、抽出液を50分の1に希釈してスプレーし、ウイルスを感染させて10日間観察した結果、スプレーしていないマウスは出血性肺炎を 発症して死んだのに対し、スプレーされた方は発症しなかったという。」ということなので、マウスの免疫力も高める作用の成分も入っているのかもしれませ ん。どんな成分が入っているのかキニナル。。。

つづきはまた次回。。。

ちょっと怖いウィルスのお話

新型インフルエンザが日本に上陸して、ついに国内感染が始まってしまったので、ちょっとウィルスのコトを。

先日、かかりつけのお医者さんとお話していて、メキシコのインフルエンザの話になりました。「人間が鳥だ鳥だって準備していたら、ウィルスもたいしたもんで、違うルートから出てきた。奴らの戦略はすごいよ」とおっしゃっていた。

もやしもんみたいに、ウィルスが「おい、おいら達はしばらく大人しくしてるから、おまえら先に行ってくれば?」、「じゃあひと暴れしてくるよ〜」みたいに想像してしまったのだけど、実態もそんなかも・・・って思わざるを得ない本を読みました。

根路銘国昭さんの「出番を待つ怪物ウィルス」って本です。

著者の根路銘さんはインフルエンザの流行の予測を立てたりする、WHOのインフルエンザ・呼吸器ウィルス協力センター長をされた日本のウィルス研究の第一人者です。WHOと喧嘩して勝った男だったりもします。

本の中にも、今、ニュースで度々見かけるWHO会長チャン女史や、事務局長補代理フクダ氏が登場し、鳥インフルエンザやSARSでのWHOや世界の研究施設のこぼれ話や、ウィルスが意思を持って人類に危害を加えているのではないかと疑いたくなるような話しもでてきます。

特に、根絶されたはずの天然痘や凶悪なエボラ出血熱は脅威的です。これらのウィルスも全世界的に流行しないとは言い切れません。特に今は飛行機などに乗ってウィルスが旅をしたり、実験動物に過剰なストレスを与えることで、今まで未発見だったウィルスが暴れだしたりすることもあり得ますし、蚊がウィルスを媒介することから、温暖化による生態系の変化も念頭に入れなければならず、人間社会の生産性優先の開発がウィルスの発現と流行のきっかけになっているようにも見えます。

ウィルスっていうのは、生物と無生物の中間って言われていて、宿主にとりついて増殖したり、共生したりしています。宿主が死んでしまうとウィルスには都合が悪いはずなのに、時に、宿主を殺してしまうこともあり、まだまだ謎が多いようです。

根路銘氏は細菌を食べるバクテリオファージ・ウィルスを観察して、ウィルスは生物なのではないかと思ったと書いています。

バクテリオファージ・ウィルスというと「動物のお医者さん」の2巻で菱沼さんがクラミジアの研究のために大腸菌を増やそうとするとどこからともなくファージが現れて大腸菌が絶滅してしまうと説明する下りで、キューピーさんのように描かれたファージが暴れている姿を思い出してしまうのだけど、このファージ、自然界では大人しくしているのに、研究室の中で紫外線照射などのストレスを与えると、途端に狂暴になるそうです。

長くなったので、また次回。